ご質問は,
“インターネット上に無料で求人広告の掲載をしてくれるという業者と契約したのですが,3週間が経過したところ,無料広告期間が経過し有料の広告掲載契約に自動更新されたとして高額の求人広告掲載料が記載された請求書が届きました。
慌てて書類を見直すと無料広告期間満了の1週間前に解約の申し出がない場合,契約が自動更新され有料契約になる旨が小さく記載されていました。
しかし,勧誘時には求人広告数を増やすため皆様にお試しで無料で掲載していただていますとしか言っておらず,自動更新についての説明はありませんでした。
契約をした以上,高額の求人広告掲載料を支払わなくてはならないのでしょうか?”
というものです。
有料広告掲載契約が成立してない,契約が成立していても錯誤により無効である,詐欺により取り消す,など争う方法はいくつかあります。
業者に料金を支払う前に弁護士に相談することをおすすめします。
【無料求人広告トラブル】
現在人手不足が深刻化しており,人材の確保に頭を悩ませている担当者の方もいらっしゃるでしょう。そのような中,全国的にトラブルが発生し問題となっているのが無料求人広告トラブルです。
トラブルとなっている業者はいくつかあるのですが,共通しているのは一定期間(3週間や1ヶ月など)は無料であることを強調して勧誘してくることです。
そして,一定期間が経過すると有料の広告掲載契約に自動更新されたとして高額の求人広告掲載料金の請求が来るというわけです。料金については,1件あたり10万から30万円の請求が多いです。
有料契約への自動更新については,確認書等をよく見てみると小さく記載されていますが,業者は詳しく説明などしてくれませんから契約時には気付かないようになっています。
しかし,業者は記載されていることを盾にして料金を支払うよう請求し,広告の掲載を依頼した会社も記載がある以上払わざるを得ないとして支払ってしまうことが多いです。
業者によっては,無料広告期間満了の少し前に特定記録郵便等で自動更新の確認書を送付してくる場合もあります。ただ,書面自体はアンケート等自動更新の確認書とは分からない体裁を取っており,有料契約への自動更新については,やはり小さく記載されており気付かないようになっています。
無料であることを強調して勧誘をしておきながら,有料契約への自動更新については小さく記載して気付かないように契約をさせる。このような手法が正常な商取引といえるかは疑問であり,契約の成立を争う余地は十分にあると考えられます。
また,契約が成立していることを前提としても,錯誤無効や詐欺取消により支払義務を争う方法もあります。
業者によっては,弁護士名で請求してくることもあり,びっくりして支払いに応じてしまったというケースもあるようですが,問題のある商法と気付かずに弁護士が依頼を受けてしまったかもしれず,すぐに支払いに応じないようにしてください。
実際,業者の代理人弁護士の請求に対して,広告の掲載を依頼した会社の代理人弁護士が反論の書面を送付したところ,業者の代理人弁護士が辞任し,料金を支払わずに済んだというケースもあります。
そのため,料金を支払う前にまずは弁護士に相談してください。
これは,本件に限らず一般的にいえるのですが,一度支払ったお金を取り戻すというのはとても大変です。何かトラブルが発生したらお金を支払う前に弁護士に相談するようにしましょう。
【無料求人広告トラブルのまとめ】
①無料を強調して勧誘してきますが,一定期間経過後に高額な求人広告料金を請求してきます!
②有料契約の自動更新についてはすぐには気付かないように記載されていますので注意が必要です!
③料金の支払義務を争う余地は十分にあるため,料金を支払う前に弁護士に相談しましょう!
以上が最近問題となっている無料求人広告トラブルの概要です。
人手不足に悩む会社の窮状につけ込んだ悪質な商法ですが,形式上は有料の広告掲載契約が成立したかに見えるようになっているため注意が必要です。
本件と同様のトラブルにお悩みでしたら,お気軽にご相談ください。