Q.離婚の際に,年金を夫婦で分割する制度があると聞きました。 年金分割制度について教えてください。
年金分割制度とは
離婚の際に,将来受け取る年金を夫婦で分割する制度です。
但し,分割される年金は,厚生年金の「報酬比例部分」だけです。国民年金(基礎年金)部分は対象となりません。
年金分割の種類
「合意分割制度」と「3号分割制度」の2種類があります。
●合意分割制度
- 平成19年4月以降に離婚する場合が対象です。
- 年金分割の対象となる期間は婚姻期間全てです。
- ご夫婦の話し合いにより分割割合(按分割合)を決めます。
- 分割割合の上限は2分の1までとされています。
- 話し合いがまとまらない場合は,裁判所に調停や審判を申し立てることができます。
- 共働きでご夫婦共に厚生年金に加入されている場合などがあてはまります。
●3号分割制度
- 平成20年4月以降に離婚する場合が対象です。
- 年金分割の対象となる期間は,平成20年4月以降の婚姻期間中に,夫または妻が「第3号被保険者」であった期間です。(※平成20年3月以前の婚姻期間については,「合意分割」の対象となります。)
- 当事者のどちらかから分割の請求があれば,相手方の合意は要りません。
- 分割割合は,当然に2分の1の割合で分割されます。
- 会社員や公務員(第2号被保険者)の配偶者で,専業主婦(夫)の場合などがあてはまります。
- 相手方が障害年金の受給者である場合には利用出来ません。
補足・注意点
- もらえる年金は,婚姻期間に対応する分だけです。
例えば,相手方の就業期間が35年で,そのうち,婚姻期間が20年ですと,全体の20/35となり,これの1/2(上限)となります。
- 分割された年金は,ご自身が年金を受給される時に上乗せされます。相手方が受給できる年齢になった際に,ご自身にも給付されるというものではありません。
- 相手方(元配偶者)が亡くなっても,ご自身の年金の支給(上乗せ)は無くなりません。
- ご自身が再婚されても,分割された年金を受け取る権利は無くなりません。
- 共働きの場合は,それぞれの報酬比例部分を合計して按分するため,例えば,妻が夫よりも収入が多かった場合には,妻側の年金が減る場合があります。
- 過去に公務員から企業へ転職をしているというような場合は,分割される年金は共済年金と厚生年金の2つでしたが,平成27年10月の被用者年金(厚生年金・共済年金)一元化後は,年金全てをまとめて分割請求することになります。
- 自営業者の場合は,加入しているのは国民年金のため,年金分割の対象にはなりません。
- 既に年金を受給中の場合でも年金分割が可能です。但し,年金額が改定されるのは請求した日の翌月からとなります。
- 年金分割は,離婚した日から2年以内に年金事務所等で手続きが必要です。これは,合意分割でも3号分割でも請求手続きが必要となります。自動的に受け取れる訳ではありませんのでご注意ください。