離婚には,大きくわけて以下の4種類があります。
ご夫婦で話し合いをし,合意することによって離婚するものです。裁判所が介入せず,手続きは簡便ですが,離婚の条件についてきちんと決めておかないと,後々思っていた条件が守られない場合もあります。
できれば,離婚協議書を作成し,公正証書にしておくことをおすすめします。
ご夫婦では協議がまとまらない場合などに,家庭裁判所へ調停の申立てを行い,調停委員を交えて協議を行うものです。
現在の法律では,原則として,いきなり離婚の訴訟をおこすのではなく,その前に必ず離婚調停で話し合いをしなければならないこととなっています。(調停前置主義といいます。)
但し,調停を行ってもご夫婦が離婚の合意に至らなければ,調停は不成立となり,離婚が成立しない場合もあります。
なお,離婚の調停申立は,必ずしも法律上の離婚原因は必要とされず,有責配偶者からの調停申立も認められています。
離婚の調停が成立する見込みがない場合に,審判の手続きに移行し,裁判所が職権で離婚を成立させるものです。
離婚に双方が合意しているものの何らかの理由で一方が離婚調停に出頭できない場合や,当事者双方が審判離婚を求めた場合などに行われますが,審判離婚となることは極めて少なく、調停がまとまらなかった場合は裁判へ移行することが殆どです。
なお,審判に対し,当事者のどちらかが2週間以内に異議を申し立てれば,審判は効力を失います。
調停が成立しない場合などに,家庭裁判所へ訴えを提起し,離婚訴訟の判決または裁判上の和解によって離婚する方法です。
裁判離婚は,以下の法律上の離婚原因(民法770条1項)があることが必要です。
①配偶者の不貞行為(不倫,浮気など)
②配偶者の悪意の遺棄(同居を拒否したり,生活費を家計に入れてくれないなど,同居義務,協力義務,扶助義務を不当に違反すること)
③配偶者が3年以上生死不明(警察への捜索願の提出など生死不明の証拠が必要です)
④配偶者の回復の見込みのない強度の精神疾患(躁うつ病など)
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な理由(性格や性生活の不一致,暴力・虐待,親族との不和など)
※なお,有責配偶者(不倫などの不貞行為をするなど,婚姻関係破綻の原因について主として責任のある配偶者のことです。)からの離婚請求は原則として認められていません。しかし,近年では,一定の要件(①別居期間が長期に及んでいること。②夫婦の間に未成熟の子がいないこと。③相手方配偶者が,離婚で精神的・社会的・経済的に過酷な状態にならないこと。)のもとに、有責配偶者からの離婚請求が認められるケースも増えています。
以上が主な離婚の種類・方法ですが,離婚そのものだけではなく,その他の事項についても併せて求めていくこととなります。
離婚に際し,夫婦の一方は相手方に対して財産の分与を請求することができます。
また,離婚をした後でも,離婚の時から2年以内であれば,財産分与の請求ができます。
離婚の慰謝料は,離婚をせざるを得なくなったことによって被った精神的苦痛に対する賠償です。
離婚の際に必ず支払われるものではなく,不貞や暴力などの離婚原因をつくった有責配偶者に対して,もう一方の配偶者が損害賠償請求を行う場合もあります。
なお,この請求権は3年の時効(民法724条)によって消滅します。
別居中の生活を維持する生活費,居住費,学費などを求めるものです。
婚姻期間に応じて,厚生年金の支給を夫婦間で分割することを求めます。
また,お子さんがいらっしゃる場合には,
未成年者の子どもの親権者を定めるものです。
子どもを育てていくための養育費用を求めます。
親権者・監護者ではない親がお子さんに会うための方法を決めます。
以上のように,離婚をするにあたっては様々なことを勘案しなくてはなりません。
当事務所でもこれまで離婚や養育費請求,慰謝料請求など数々のご相談を受けてまいりましたが,それぞれご事情も異なりますし,様々な思いを抱えておられます。
精神的にもご負担がかかるなか,依頼者の方のより良い今後のために当職が助力できればと思っております。