信託監督人は,高齢者や年少者,知的障がい者など,受益者自身によって受託者を適切に監督することが期待できない場合に,受益者に代わって受託者を監督し,受益者の権利を保護する役割を担います。
信託監督人は,必ず選任しなければならないものではないですが,少なくとも上記のような場合のように,受益者自身によって受託者を適切に監督することが期待できない場合には,選任するようにすべきでしょう。
信託監督人の権限は,契約で柔軟に定めることが可能です。
当該信託において,誰が受託者及び信託監督人に就任するのか等事案に応じて信託監督人の権限の強弱を決めるのがよいでしょう。
信託監督人は,信託行為において指定することができます。
また,信託行為に信託監督人の定めがない場合には,利害関係人の申立てにより裁判所が信託監督人を選任します。
(信託監督人の資格)
信託法上,
①未成年者
②成年被後見人
③被保佐人
④受託者
は,信託監督人になることはできないと定められていますが,それ以外は信託監督人になるのに特に資格が必要というわけではありません。
ただ,信託監督人は,受託者を適切に監督することが期待できない受益者に代わって受託者を監督し,受益者の権利を保護する重要な役割を担いますから,ある程度専門的な知識は必要であるといえるでしょう。
また,監督される受託者と監督する信託監督人がお互い親族同士だとやりにくい,関係がギクシャクするのが嫌だと思われる方もおられるでしょう。
そのような場合,弁護士等の専門職を信託監督人に選任することも一つの選択肢ですから,必要に応じて利用を検討してください。
(参考)
※信託管理人
将来誕生する子を受益者として指定した場合など,受益者が現に存在しない場合に,受益者のために自己の名をもって,受益者の権限を行使する者。
※受益者代理人
受益者が不特定多数または頻繁に変動する場合など,受益者の意思決定や受託者への監督が事実困難な場合に,受益者のために,その代理人として,受益者が有する信託法上の一切の権利を行使する者。
家族信託について,さらに詳しくお知りになりたい場合は,下記ページをご参照ください。
(家族信託)
→ https://www.kobe-hidamari-law.com/consult/senior/892/