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Q.「法定相続情報証明制度」とはどのようなものですか?

昨年から全国の法務局において,「法定相続情報証明制度」が始まりました。
法定相続情報証明制度」とは,亡くなった方の相続関係を証明するもので,必要書類を揃えて法務局へ申出をすると,相続手続きに必要な証明書(認証文付き法定相続情報一覧図)を交付してくれる制度です。(※法定相続情報一覧図は必要な範囲で無料で複数通発行可能です。)

相続手続きでは,亡くなられた方の一連の戸籍謄本一式を銀行などに提出する必要がありますが,いくつかの銀行に預金口座がある場合,銀行毎に何度も提出しなければいけません。また,銀行だけでなく証券会社や保険会社,不動産の所有権移転登記手続きでも必要となってきます。
法定相続情報一覧図があれば,戸籍の束の代わりに各種の手続きにおいて提出でき,手続きを迅速に行うことができます。

当事務所でも法定相続情報一覧図の交付手続きを行い,各金融機関での手続きや不動産の相続登記手続きに活用しておりますが,何度も戸籍の綴りをやり取りする必要がなく,戸籍の綴りの代わりに1枚(数次相続の場合は2枚)の法定相続情報一覧図を提出すれば足りるので,手続きが簡素化され迅速に処理することが出来ております。

なお,「法定相続情報証明制度」については,平成30年4月1日から相続税の申告書の添付書類にも法定相続情報一覧図を使うことができるようになるなど利用範囲の拡大のため,以下のとおり取扱いが変更されています。

  1. 被相続人との続柄の記載について
    法定相続情報一覧図には被相続人との続柄を記載する必要があり,これまでは「配偶者」,「子」と記載するのが原則とされていましたが,今後は原則として小関に記載される続柄(「妻」,「長男」,「長女」,「養子」など)を記載することになりました。(※申出人の選択により,従来どおり「配偶者」,「子」としても差し支えはありませんが,その場合,相続税の申告書の添付書類として法定相続情報一覧図が利用できないこととなっておりますのでご留意ください。)
  2. 相続税の申告書への添付について
    1のとおり,戸籍に記載される続柄を記載すれば,相続税の申告書の添付書類に法定相続情報一覧図を使うことができるようになりました。
  3. 被相続人の最後の本籍の記載について
    法定相続情報一覧図には,被相続人の最後の住所を記載することとなっておりますが,被相続人の最後の本籍地も記載することができるようになりました。
  4. 相続登記等における相続人の住所を証する情報の取扱いについて
    相続登記等の申請時に法定相続情報一覧図の写しを提供する場合,法定相続情報一覧図の写しに相続人の住所が記載されていれば,相続人の住所を証する情報(住民票や印鑑登録証明書など)を省略することができるようになりました。

このような「法定相続情報証明制度」ですが,数次相続が発生している場合はそれぞれの被相続人の法定相続情報一覧図の作成が必要です。また,相続放棄をする人がいても法定相続情報一覧図にはその旨は記載されませんのでご注意ください。

当事務所では相続についてのご依頼をいただきましたら,戸籍の収集や法定相続情報一覧図の交付手続きはもちろん,遺産分割協議書の作成,銀行口座の解約手続き,不動産の所有権移転登記手続きまでトータルに行っております。また,あらゆる相続のトラブルについても対応しておりますので,いつでもご相談ください。