●養育費の時効
原則…5年
調停,審判,訴訟の場合…10年
2020年4月1日から施行された改正民法では,原則として5年の消滅時効期間に統一されます。
ただ,もともと養育費は定期金債権として5年で時効消滅するとされていましたから,改正前後で消滅時効期間に変更はありません。
ご質問の場合は,調停で養育費が定められたケースです。
民法上,裁判手続で確定した権利については,時効期間は10年とすると定められています。
そのため,ご質問のケースの場合は,10年間は養育費が時効消滅することはありませんから,未払いの養育費の全額を請求できます。
なお,公正証書で養育費を定めた場合は,裁判手続で確定した権利には該当しないとされていますから,原則の5年で時効消滅することにご注意ください。
●相手方の特定
相手方の現在の連絡先が分からない場合であっても,過去の住所や電話番号等から現在の連絡先を見つけることは可能ですから諦める必要はありません。
なお,従前ソフトバンクは,弁護士会を通じた契約者情報の照会手続に対して回答を拒否していましたが,近時対応を変更しており回答に応じる姿勢を見せています。
そのため,相手方がソフトバンクと契約している場合であっても,諦める必要はないといえるでしょう。
養育費は,お子様の健全な育成,生活の安定のため重要なものです。
ご相談をうかがっていると,相手方と関わりたくないから請求を諦めるとおっしゃる方もおられますが,養育費を請求できる期間,支払総額等を考えると一時の感情で決めるべき問題ではないと考えます。
当事者で話し合いができないのであれば,弁護士に委任する,家庭裁判所に調停を申し立てるなどできる限り第三者が関与する形で交渉を進めるのがよいでしょう。
将来的にやっぱり請求しておけばよかったと後悔しないよう諦める前に一度は弁護士に相談してみてください。